お墓の基礎知識
永代使用権とは?
“墓地を買う”ということは永代使用権を手に入れるということです。これは寺院墓地であれ、公営墓地であれ、民営霊園であれすべて同じです。
墓所は宅地分譲のように土地そのものの売買ではなく「永代使用承諾」という方式で扱われ、その永代使用権に対して支払われる代金を
永代使用料といいます。その権利は祭祀主催者を名義人として代々受け継ぐことができます。
建墓にかかる費用
建墓にはかなりの費用がかかります。お墓に用いる石材にはかなりの価格差があり、上級材になると3倍くらいの開きがあるといわれています。
ただお墓はご遺族の経済力の証ではありません。ご先祖様が快く安眠される場所をおつくりすることが大切なのです。
お墓の規模にこだわるよりも、建墓をされたあと、ご家族の方々が追善供養の心を保ち続けることのほうが大事です。
まず建墓の時期を決め、その日を目標にしてご遺族の経済力に見合った建墓をなさるのが最善の方法だと思います。
お墓の継承
子孫(子ども)がいない場合、お墓の継承は一般的には血縁者であれば継ぐことができます。
墓地を求めたら、霊園名や場所(区画)を承継者に伝えることも大切です。
承継者のいない家庭では
お墓はこれまで代々受け継がれるという考えから家族墓が一般的でしたが、核家族化、少子化、シングルの増加、ライフスタイルの変化などにより、従来の家族墓では対応しきれなくなってきました。
こうした時代のニーズに鑑み、近年では子どものいないご夫婦向けの夫婦墓やシングルの方向けの個人墓、合葬式の永代供養墓など、お墓のかたちも多様化してきております。
これらはお寺や管理者が責任を持って供養してくれるので、承継者のいない方も安心してお墓をお求めいただけます。
寿陵
生前にお墓を建てることを「寿陵」といいます。戒名や建立者の文字が朱色のお墓を見つけたら、それが寿陵墓です。
最近の傾向では寿陵による建墓、つまり生前にお墓を建てられる方が全体の70%を占めるようになったといわれています。
建墓の時期については、いつお墓を建てたらいいのかという決まりはありません。
中陰(35日、49日)がいいとか、百ヶ日がいい、一周忌がいいなど、色々なことが言われています。
好きな形で…
お墓の形に関する決まりはありません。お墓は来世の自分の家でもあります。
建てる人の感性や価値観に合った、その人らしいデザインの墓石も良いと思います。
これまでは、お墓は祖先や故人の霊を慰める供養のためのものでした。ところが、寿陵が増えた昨今では、人々は生前に自分自身でお墓を建てます。
こうした建墓者は、画一的な従来の和型三段墓よりも、自分らしさを大切にしたオリジナルデザインのお墓を求める傾向にあります。
お墓にも個性化の時代が来たということでしょうか。ただし霊園によっては規制がある場合があるので、ご相談ください。
不要の場合・譲渡
お墓を誰かに譲渡することはできません。使用者がお墓に対して持つ権利とは、所有権ではなく永代使用権に過ぎないからです。
墓地を勝手に処分することは一切禁止されています。また他の墓地を手に入れたり、改葬したりして墓地が不要になったときは霊園側に返すことになります。
墓石などを完全に撤去し、原状復帰が基本となります。また永代使用料はほとんどの霊園で戻ってきません。
開眼供養・納骨法要
開眼供養とは、<お魂入れ>や<入魂式>とも呼ばれ、墓としての意味を持たせる大事な法要です。
墓石を建立されたら、その墓所に仏様が埋葬されている・いないに関係なく、必ずご住職にお経を唱えていただき、開眼供養をしてください。
納骨の時期については決まりはありませんが、亡くなられた後、四十九日間を中陰(この世とあの世の中間の世界)といいます。
通常忌明けの中陰を過ぎたら、遺骨を納める<納骨法要>を営みます。
追善・年回法要
仏教ではより良い死後の世界へ行けるようにとの願いから、亡くなった人が無事に浄土に向かうための七日ごとの法要が営まれます。
法要には十三の神様「十三王」が本尊としてあてられます。
また、この他の法要としては「新盆」、数え年で「十七回忌」「二十三回忌」「二十七回忌」となります。
忌日・年回法要 | 本地諸仏 | 十三王 |
---|---|---|
初七日(七日目) 二七日(十四日目) 三七日(二十一日目) 四七日(二十八日目) 五七日(三十五日目) 六七日(四十二日目) 七七日(四十九日)忌明け 百ヶ日 一周忌 三回忌 七回忌 十三回忌 三十三回忌 |
不動明王 釈迦如来 文殊菩薩 普賢菩薩 地蔵菩薩 弥勒菩薩 薬師如来 観音菩薩 勢至菩薩 阿弥陀如来 阿閦如来 大日如来 虚空蔵菩薩 |
秦広王 初江王 宋帝王 五官王 閻魔王 変成王 泰山王 平等王 都弔王 転輪王 蓮華王 慈恩王 祇園王 |
お彼岸のいわれ
彼岸とは彼の岸のことで、清らかで悩みのない極楽浄土のことであり、私たちが住む煩悩で汚れた現世のことを此岸(しがん)といいます。
お彼岸は春秋の年二回とされ、春分の日と秋分の日を彼岸の中日と呼び、この日を挟んだ前後七日間です。
彼岸の中日は昼夜の長さが同じになる日で、太陽が真西に沈むため、仏教では西方極楽浄土を望む日とされてきました。
お彼岸は千年余の伝統ある仏教行事で、古来よりご先祖様を偲び感謝する行事とされています。
お盆のお墓参り
お盆はお墓にいらっしゃるご先祖様を我が家にお迎えし、家族とともに過ごす行事です。
ご家族揃ってお墓参りをして、ご先祖様をお迎えするための迎え火を焚きます。
昔は、お墓の灯明からいただいてくるという慣習があったようです。
お盆の初日にはぜひ一家揃ってお墓参りをして、ご先祖様を心よりお迎えしましょう。
お墓は家族の和をつくり、仲良く暮らすためにも大切にしたいものです。
墓所の手入れ
お墓参りには雑巾やブラシを用意して、石碑に刻まれた文字の中をブラシで磨き、香炉や花立などのゴミを取り払い、線香のシミや
鳥のフンなどは固く絞った雑巾で拭きとります。(あまり水をかけすぎると苔などが生えるので、石には良くありません)
古くなった塔婆は所定の場所に片付け、植木の剪定もお隣の迷惑とならぬよう心掛けます。
また、花筒の破損や玉砂利が減ってしまったなど、修理を要する点、その他お気付きのことがございましたらお気軽に当社へお申し付けください。