石材機械のメンテナンス実施
工場の機械音が、いつもより少しだけ軽快に響いている。

先日、長年うちの工場で頑張ってくれている石材切削機械のメンテナンスをやってもらったんです。 オフカットやコアカッターといった、石を切ったり穴を開けたりするのに欠かせない道具たち。
導入してから、かれこれ20年。 人間でいえばすっかりベテランの域だけど、業者さんに診てもらったら「まだまだ状態は良いね」と嬉しいお墨付きをもらえました。
しっかり調整してもらったおかげで、動作も驚くほどスムーズ。 長年使い込んできた機械が息を吹き返したように動くのを見ると、なんだか自分のことのように嬉しくなりますね。
ただ、作業の合間に業者さんと交わした会話で、少し考えさせられることがあって。
「今の状態なら、あと10年くらいはうちで対応できるよ」
とてもありがたい言葉です。 でも、その裏にはこの業界が抱えるちょっと深刻な事情があるんです。
「ただ、メーカー側はもう、この機種の交換部品の製造を終了しているんだよね」
実は20年も前の機械になると、メーカーでの部品製造はとっくに終わっている。じゃあどうやって修理するのかって話ですよね。 なんと、メンテナンス業者の職人さんたちが、その都度必要な部品を自作してくれているんです。
金属を削り、溶接して、その機械にピタリとはまる部品を感覚と経験で作ってしまう。まさに職人技。 だけど、そういった頼もしい技術を持った業者さん自体が今はどんどん減ってしまっているのが現実。
機械を直せる人がいなくなれば、我々石屋は石を切ることすらできなくなってしまう。 同じモノづくりに関わる身として、技術の継承という壁の高さや時代の流れをひしひしと感じますよ。
「あと10年」か。
縮小する市場が引き起こす、ドミノ倒し
メンテナンスをしてくれる業者さんが減っている背景には、石材業界全体の切実な問題が絡んでいる。
私が現場を引っ張り始めた2000年代頃、お墓の市場規模は4,500億円くらいあったと言われているけど、ここ数十年で半分以下。
最近じゃ1,700億円程度まで急激に縮小しているらしい。 お墓を新しく建てる人の絶対数が年々減っているし、建てるにしても、お墓の規模自体がこぢんまりしてきている。
この凄まじい市場の縮小は、我々のような小売り石材店の廃業を招くだけじゃ済まないんです。 需要が減れば、国内の加工業者や採石業者への発注も当然減る。まさにドミノ倒し。 そして、この波は当然のように機械のメンテナンス業者さんにも襲いかかってくる。
石材店や加工工場が減って、残った工場も新しい設備投資を控えるようになれば、機械の修理やメンテナンスの依頼なんて激減するわけです。 仕事が減ったメンテナンス業者さんは利益を出せなくなり、後継者を育てる余裕をすっかり失ってしまう。
その結果、高度な技術やノウハウを持った同世代や先輩のベテラン職人たちが、高齢化を理由に、誰にも技術を継承することなく静かに現場から姿を消していく。
こう書きながら、どっとため息が漏れてしまった。
これからも続けていくために
でも、この負の連鎖をどこかで断ち切らなきゃならない。 そのためには、やっぱりお墓の本来の意味や良さを伝えていく啓蒙活動が大事なんだろうなと思う。
そして我々自身も後継者を育てていくこと。これも絶対に外せない仕事だ。 作る人、建てる人、直す人。みんないなきゃ成り立たないんだから。
課題は山積みだけど、今はとにかく、手間暇かけて部品を作り直してくれた職人さんに感謝です。
動きが良くなったこの機械たちと、一日でも長く一緒に仕事ができるよう、これまで以上に大切に使っていこうと思います。

