32年越しの再会が教えてくれた、この仕事の本当の価値

少し前のことになりますが、あるお客様と32年ぶりの再会を果たしました。
長年この三郷の地で石屋をやっていると、親子三代にわたってお付き合いのあるお客様もいらっしゃいますが、今回は少し事情が違います。
ご依頼の内容は、お墓の建立ではなく「墓じまい」でした。
お会いした奥様は私が26歳の頃にお墓づくりを担当させていただいたお客様の一人でした。
当時のことは今でもはっきりと覚えている。その奥様のご主人は、心筋梗塞で若くして倒れられた。
まだ50代というあまりにも早すぎる別れだった。
残された奥様も当時50代。タイミングとして四十九日での建墓は難しく、百か日にはなんとか間に合わせるべく建墓の打ち合わせをさせていただきました。
若造だった私の提案を素直に聞いてくださる、本当に優しくて芯の強いお母さんだったと記憶しています。
あれから32年。 奥様も80代、私もすっかり白髪の混じる58歳になりました。 そうです。当時のご主人様・奥様と同じくらいの年齢になりました。
三十三回忌の節目に
今回墓じまいを決断されたのは、一人娘さんが遠方にいるためと自身が高齢になったためといいます。
寂しさもあるだろうが、娘さんに負担をかけまいとする親心なのだと思う。
お骨を取り出す作業を終えた時、奥様が私にこう仰ってくれました。
「最初にご主人のお骨を入れたのも、今回最後にお骨を取り出したのも同じ担当者で、本当に良かった。最初から最後まで、同じ石屋の同じ人に担当してもらえてホッとできる」
この言葉を聞いたとき、胸の奥が熱くなった。 石屋を続けてきて本当に良かったと、心の底から思えた瞬間だった。
気がつくと私は、「記念に残るものとして、撤去するお墓の石を使ってペーパーウェイトを作りませんか」と提案していました。 奥様は大変喜んでくださり、私も少しだけ肩の荷が下りたような気がします。
さらに驚いたことに、奥様は会社が取り上げられた新聞の切り抜きを取ってくださっていたり、毎年送っているカレンダーを大切に使っていただいたりと、色々と気にかけていただいていたのだ。 ただの石屋と客という関係を超えた、目に見えない絆のようなものを感じずにはいられない。
若手に伝えていきたい
後日、私は会社の若い社員たちにこの話をしました。
例えば何かを買って32年後に「あの時あなたから買ってよかった」と感謝されることは、まずないだろう。
しかし、我々が携わるお墓の仕事は違う。 数十年という長い年月を経てもお客様の記憶に残り、人生の大切な節目に寄り添い続けることができる。
とても息の長く、そして尊い仕事なのだ。
いま20代の若手社員たちも、日々現場で泥だらけになりながら汗を流してくれています。
彼らがいつか、自分が担当したお客様から同じように感謝される日が必ず来る。その誇りと喜びを胸に、日々の仕事に向き合ってほしいと願っています。
地元に根を張り、何十年もお客様の人生の節目に立ち会う。 これからも変わらず、この町で実直に石と向き合っていきたいと思う。

